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この地域で一番強いチームはどこかと聞かれたら皆、紅蓮と蒼天、どちらかを答える。

それはなぜかと聞かれれば、No1の座に一番近いとされる紅蓮と蒼天が今だ対決したことがないからだ。

だから、統一した答えは返ってこない。

俺が学園に入れられた原因、あれが蒼天と紅蓮の初対決だった。

それも結局、決着はつかず仕舞いで。

俺はその日の事を思い出す度に、せっかく強い奴とやりあえたのに、という残念な気持ちに陥る。

「着替え終わったかぁ?」

コンコン、と扉をノックされ俺は扉を開けた。

「ん?おぅ、服サンキュ」

カズの部屋に戻ってきた俺は、アカの変装を解いて優等生スタイルの変装にし直した。

「それで、変装の理由は聞かせて貰えるんだよなぁ?」

リビングに移動し、飲み物を出してきた和真が俺の正面のソファーに腰を下ろして聞いてきた。

「いいけど誰にも言うなよ」

こうなったら色々協力してもらおう。

そして俺は、この学園に入れられた経緯と変装の理由について話した。

「ふぅん、そうだったのか。なら早い内に蒼天の誰かに連絡しといた方がいいぜ。アイツ等、ヒサと連絡取れなくなって探してるみたいだからなぁ」

「やっぱ行方不明扱いか。俺も連絡とりてぇんだけど連絡先の入った携帯処分されちまってさ、どうしよ…」

困ったな、と難しい顔をしていればカズがそれよりも言っておかなきゃならないことがある。と、嫌に真剣な表情で俺を見てきた。

「何だよ?」

「ヒサがどう思ってるか知らねぇけどここには紅蓮の奴等がいる」

「あ〜、知ってる。入学式で紅蓮のヘッド見たし。不良が生徒会長とかありえねぇだろ」

あれは衝撃的だった。他にもエレベーターで一回会ったな。

「生徒会長だけじゃねぇ。生徒会は紅蓮の総長、副総長、幹部で構成されてるんだ」

「はぁ!?何だよそれ!嘘だろ?」

生徒会ってのは真面目で優秀な生徒がなるもんだろ?間違っても不良がなるもんじゃない。

それだけで驚きの事実なのに和真は続けてこうも言った。

「ここは紅蓮のアジトだ」

じゃぁ、俺は知らずの内に敵の中に飛び込んだって言うのか?笑えねぇ。

あれ?でも…。

「それなら何でカズは普通に生活してんだよ?黒騎の総長だって知らねぇとか?」

そんな筈はないと分かっているが不思議に思って聞いてみた。

そしたらカズは眉間に皺を寄せて不機嫌な顔になった。

「アイツ等は俺等に、黒騎に興味がねぇんだよ。あるのは蒼天、ヒサにだけだ」

「俺?」

「そう。だからアイツ等には、特に志摩には近づくな」

自分から近づく気はまったくなかったし、カズがいつになく真剣な目をしていたので俺は頷いた。



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